映画「人生の特等席」

2012年公開 ロバート・ロレンツ監督アメリカ映画

主演はクリント・イーストウッドで制作にも携わる

過去に一つの闇を抱えた野球選手の名スカウトマンが、老いで盲目になってきたハンデを弁護士の娘が手助けしようとすることから始まる二人の、また、それぞれのストーリー

 

政治的、歴史的背景は何も知らなくても楽しめる映画でした。

前にみたグラントリノと同様にクリント・イーストウッドは粋なおじさんという印象をうけました。スカウトマンのジョニーとのやりとりなど会話で魅せる部分が多く、ガスというキャラクターに引き込まれていきました。

ストーリー全体としては少し単調すぎたような気がします。どんでん返しとしてガスの過去の闇があると思うのですが、僕の感受性が乏しいのか、だから娘と距離をとっていたのか、くらいですんですまいました。もう一回みたらまた違うのかもしれませんが。

ラストは一見安易なようですが、多分あれ以外はないのではないかと思っています。ハッピーエンドであり、ミッキーによるものであり、しかしミッキーが努力して見つけたとなるとガスを超えたということになりかねないからです。

見る人の力量が試されるおもしろい映画だとおもいます。

 

映画「バレエ・シューズ」

サンドラ・ゴールドバッハー監督のイギリステレビ映画

1936年出版の小説を1975年にテレビシリーズとして放送され、2007年にそれをテレビ映画にした作品

主人公の三人の孤児の女の子が、引き取られた貧乏な家を潤すため、またそれぞれの夢をかなえるために働く物語

孤児の一人はエマ・ワトソンが演じる

 

主人公は三人とも思春期の女の子なのですが、学校にも通えないような家庭環境にいるのに哀愁を感じさせないような強さがあるということがいいギャップでした。

おそらく原作から省かれたであろう部分が多く、見てる側が状況から読みとらなければディティールがわからないシーンが多く感じました。

ただ、ストーリー自体は単純なのでなんとなく見ていても話は入ってきました。

雰囲気映画としては良作だと思います。

 

ちなみにエマ・ワトソン含む三人をひきとったガムおじさん役は、ハリーポッターのバーノンおじさん役のリチャード・グリフィスでした。

 

 

 

 

映画「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

2007年制作アメリカ映画

ティムバートン監督

ジョアンナ役には当初アンハサウェイが予定されていたが監督の希望で無名女優を起用

製作費5000万ドル

1800年前後のロンドンが舞台

妻を奪われ無実の罪で収監されていた理髪師の釈放後の復讐劇

 

またみたくなる映画でした。

ティムバートンでは毎度ですが、世界観、一つ一つのシーンが美しくて、贅沢をしているような感覚に陥りました。ところどころミュージカル調にして、復讐劇という重さが緩和されていたのが効果的でした。主人公トッドの復讐は、理髪店にて散髪、髭剃り中に首を切り、協力者のパイ屋の女主人がその人肉パイで一儲けするというものでした。復讐の対象は妻を奪った判事だけだったのが、ロンドン中の人々へとかわり、くる客すべての首を切っていきます。それでいてむしろファンタジー風にみれたということがおもしろかったです。

ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナムカーターのコンビも魅力的でした。

 

ラストには一つ衝撃があったものの、物足りない感じがしました。その後残った人がどうなったのかというのが何かしらの形で知りたかったと思いました。

想像できる範囲ではありますが、この作品に関しては、映画内で語られないことに違和感があるように思いました。

 

ともあれ良作であることに間違いなく、ぜひまた見たい作品です。

 

映画「眼には眼を」

1957年フランス映画

アンドレ・カイヤット監督

勤務時間外の医師が診療を断ったことで妻を失った男の壮大な復讐劇

 

ストーリー展開はわかりやすかったです。前半は医師と男の関係性のみを描いています。男の意図がわからない行動もすべて計算だったとわかってから最後の復讐劇につながるのですが、復讐中に男が感情をぶつけるというアクセントもありました。

この男は中東人で医師はフランス人なのですが、異文化人が何を考えてるかわからないといった怖さが全編にわたってうまく表現されていました。

 

復讐方法は、砂漠をさまよわせるという斬新なものでした。ラストで絶望を表現したかったようなのですが、いまひとつのように思いました。砂漠をさまよう生き地獄よりも餓死が先だと、展開からどうしてもそう考えてしまいました。

しかしラストはあれ以外にありえないとも思いますので、生きながらえるくらいの食糧を見つけるなりの描写があればなおよかったかなと思いました。

 

 

映画「Cape Fear(ケープ・フィアー)」

マーティン・スコセッシ監督 1991年アメリカ映画 

1962年公開の映画「恐怖の岬」のリメイク作品

私的な感情で自分の弁護士に不利にさせられた強姦犯のサイコな復讐劇

 

映画「タクシードライバー」をみたあと映画好きな友達が紹介してくれました。

調べたら監督も同じでした。

ストーリーはわかりやすく楽しめました。ただただ復讐劇でした。14年の刑務所暮らしで肉体改造をし、法律を勉強し、それらを駆使して巧妙に弁護士を追い詰めていきます。

物語が進むにつれて復讐の内容がエスカレートしていきます。最初はあたりをうろつかれて不気味レベルでしたが、終盤にはいきすぎてもはや笑いでした。お気に入りは車の下面にはりついて長距離移動した後ちょっと疲れた様子をみせるシーンです。さすがにきついわ、的な。

 

しかしすべて刑務所生活中に得た力で押し通していいのでしょうか。無理があります。僕はいいと思います。