映画「アメリカの影」

1959年制作のアメリカ映画

ジョン・カサペテス監督

黒人の血を引く三人兄妹のそれぞれの葛藤を描いたストーリー

 

 

この映画をみたときの僕の解釈は60年代のアメリカの影の部分、アンチ社会的な人々の生き方を描いていて、黒人の血を引いているというのもその一部というものでした。

しかし調べてみると黒人であるということがこの映画でいうアメリカの影そのものであるということでした。

直接的に黒人ということで差別を受ける描写は一つしかなかったので、そういった差別の意識をあまり持たずに生きている僕らには読み取りづらいのかもしれません。逆に、60年代の人にはそれだけで充分伝わったのでしょうから、そこに現代とのギャップを感じます。

また、この映画は主人公らにとってはハッピーエンドなのですが、社会的には黒人差別がなくなったわけではないので、活かすアイロニーだと思います。

 

全編にわたって台本がなく即興演出だそうです。

またこの映画は、制作された1年後に監督が再製作をしたものが現在世に出ているもので、最初のバージョンはも見れないそうなのです。監督は、撮りなおした作品のほうがよりリアルな演出ができていると考えているそうなのですが、当時の批評家の中には最初のほうがよりよいという声もあるそうなので、みれないのは残念です。

 

社会風刺という重い内容とは裏腹にクラシック映画らしい穏やかな空気感というギャップが効果的でした。

またみたい作品です。